プロレスDVD「壮絶!喧嘩マッチ烈伝」DISC-1

ハヤブサプロレス 2025年

力道山が残した名言「プロレスは、ルールのある喧嘩である」

プロレスライターの流 智美(ながれ ともみ)氏による監修・解説のもと、新日本プロレスのリングで起こった喧嘩マッチの数々を収めた本作。
「喧嘩マッチ」「不穏試合」「シュート」「セメント」といったワードに胸が躍る方には特に興味深い作品だろう。
まずはDISC-1から紹介していく。

① 日プロ時代から受け継がれた因縁の遺恨マッチ!!世界の荒鷲ここにあり
昭和50年5月16日 日大講堂
ワールドリーグ戦優勝戦巴戦
坂口征二 vs 大木金太郎

ジャイアント馬場・アントニオ猪木が去った後、日本プロレスのツートップだった坂口と大木。弱体化した日プロは新日本プロレスとの合併を進めたが、日プロの選手会長だった大木が反対し、坂口は裏切り者扱いで新日本に移籍。その後日プロは崩壊し、大木は全日本プロレス~韓国への帰国を経て新日本に参戦。遺恨がある坂口と相まみえることとなる。

4月25日に福山大会で行われたワールドリーグ戦ではノーコンテスト。5月9日に高松大会で行われた再戦は坂口のリングアウト勝ち。そして優勝決定戦進出トーナメントで行われた最終血戦。
レフェリーのボディチェックを受ける坂口を大木が頭突きで急襲。そのまま場外戦となり坂口は流血。試合開始のゴングが鳴ると再び場外戦。坂口はイスを持ってリングに戻ると大木の頭部を殴打、しかし大木は構わず頭突きで反撃。そして再び場外戦となり試合終了のゴングが鳴る。両者リングアウト(両者失格)の裁定が下された。その後も両者の怒りは収まらず取っ組み合いを繰り返し、しまいには猪木も姿を現す始末。悔しさを露わにした坂口は肩を落としてリングを後にした。

評価:☆☆☆

② 謎だらけの迷走試合。不可解な仲間割れが両陣営の怒りに火をつける
昭和50年7月25日 寝屋川市民体育館
アントニオ猪木&ストロング小林 vs ハンス・シュミット&ブルート・バーナード

「地獄の料理人」ハンス・シュミットと「野獣」ブルート・バーナードによる仲間割れ。
ハンス・シュミットといえばシュミット式バックブリーカー、ブルート・バーナードといえば「大木金太郎耳そぎ事件」を想起する方もいるだろう。

猪木・小林組に続きハンス・シュミットがリングイン。しかしバーナードがなかなか入場してこない。アリ・ババがリング下で何やらアピールし、レフェリーのミスター高橋を連れて花道を戻っていく。猪木の怪訝な表情がリアルだ。その後、奇声を発しながらバーナードが入場。バーナードがエプロンに上がったところでシュミットがバーナードに一発入れ、場外乱闘に発展。猪木と小林はリング上で唖然とした表情を見せる。高橋やアリ・ババらが間に入ってなんとか2人を止めようとするがなかなか収まらず。業を煮やした高橋がシュミットとバーナードの顔面を張り、ようやく2人はリングに上がる。三本勝負の二本目までは普通にタッチワークも行われ、何事もなかったかのように試合は進むが、二本目終了後バーナードが客席へ乱入したのをきっかけに再び仲間割れの場外乱闘が勃発。一度はリング内に戻った2人だったが、三本目のゴングが鳴るとシュミットがリングを降り花道を後にする。猪木と小林の2人に対しバーナード1人という状況で試合が再開するが、シュミットの試合放棄という裁定により試合終了のゴングが鳴らされた。

評価:☆☆☆

③ バーリトゥードを日本に持ち込んだ伝説の男。その現存する唯一のノーカット試合
昭和51年8月14日 サンパウロ・イビラプエラ
木戸修 vs イワン・ゴメス

ブラジルのバーリトゥードファイター、イワン・ゴメス。
日本のレスリングに興味を持ったゴメスは猪木の下でトレーニングを積み、藤原喜明や佐山聡らに影響を与えたとも言われる。

8月7日に行われたウイリエム・ルスカとの試合が喧嘩マッチとなったゴメス。その1週間後に行われた対木戸戦。画質の悪さからも貴重さが窺える映像。
終始間合いを計って張り手やキックといった打撃中心で攻めるゴメスのファイトスタイルは、やはりプロレスよりも総合格闘技に近い。簡単には組ませないゴメスに対し、木戸も張り手やキックで応戦するがダメージを与えるには至らず。ゴメスはロープ越しに木戸を場外へ放り投げる荒々しさも見せる。最後までペースを握れなかった木戸はフロントネックロックでギブアップ負けを喫した。
総合格闘技の要素も垣間見れて興味深い映像だが、ほぼ同時期に行われた猪木対モハメド・アリ戦が世紀の凡戦と酷評されたことからも、当時のプロレスファンが見たら退屈な試合に感じただろう。

評価:☆☆

④ これが伝説の “ヤマハブラザーズ” その勇姿
昭和54年1月24日 徳島市立体育館
長州力&木戸修 vs 星野勘太郎&山本小鉄

日本プロレス時代のアメリカ武者修業中に結成された昭和の名タッグ、ヤマハブラザーズ。
小型でもパワフルであるヤマハの日本製バイクにあやかって名付けられた。
後に「鬼軍曹」と呼ばれた山本は新日本プロレスの旗揚げに参加したが、「突貫小僧」星野勘太郎も日プロ崩壊後に新日本に入団したことでコンビが復活する。
この試合の直前に国際プロレスのリングにおいてグレート草津&アニマル浜口からIWA世界タッグ王座を奪取し、気合の入るヤマハブラザーズ。長州・木戸の若さとパワーに押される場面もあったが、巧みなタッグワークで勝利を収める。

評価:☆

⑤ 猪木がキレた… 封印された異種格闘技戦 No.1マッチ 闘魂に宿る鬼
昭和54年4月3日 福岡スポーツセンター
格闘技世界ヘビー級選手権
アントニオ猪木 vs レフトフック・デイトン

AAU空手チャンピオンのレフトフック・デイトンがチャンピオンの猪木に挑戦した一戦。当時社会を震撼させた首吊りデモンストレーションの映像が特別収録されている。
3分10ラウンド制。デイトンはオープンフィンガーグローブを着用。寝技は10秒まで。

試合開始のゴングが鳴る前に仕掛けるデイトン。ボディへのキックから右ストレート。たまらずダウンする猪木。直後に開始のゴングが鳴る。デイトンの攻撃は明らかに開始ゴング前だったが、なぜか「ゴングと同時」という判断により反則とはならず。その後も見事な肉体から繰り出される打撃で主導権を握るデイトン。しかし第3ラウンドには猪木がバックドロップでダメージを与え、五分五分の展開へ。
第4ラウンド、グラウンド状態でデイトンの打撃を受けた猪木にスイッチが入り、ヘッドバットを連発。流血したデイトンはキレ気味の本気パンチで反撃。
第5ラウンドになっても猪木は執拗にヘッドバットで攻め、戦意喪失気味のデイトン。
第6ラウンドには最後の気力を振り絞って反撃を試みるデイトンだったが、再びのヘッドバット攻撃に動きは止まり、追い打ちのバックドロップ2連発。遂にセコンドからタオルが投入され猪木のTKO勝利となった。

評価:☆☆☆☆☆

⑥ 大巨人神話が崩壊した元祖「裏」映像。ここに、今一度
昭和61年4月29日 津市体育館
前田日明 vs アンドレ・ザ・ジャイアント

「人間山脈」アンドレ・ザ・ジャイアントが仕掛けた伝説の不穏試合。
全体重をかけて前田を押しつぶすアンドレ。普通の人間ならこれだけでKOだろう。
ロープに飛んで体当たりを狙う前田だが、アンドレは受ける気などさらさらなく肘で弾き飛ばす。
前田は片足タックルでテイクダウンに成功しグラウンドで上になるが、アンドレは前田の髪の毛を掴みサミング(目潰し)のような動きを見せる。
まともにプロレスをしようとしないアンドレに対し、前田はなんとか試合を成立させようと再三タックルからグラウンドに持ち込むが、アンドレの巨体とパワーに阻まれ極めきれない。
会場にも不穏な空気が立ち込める中、遂に業を煮やした前田が本気のローキックを見舞う。特に正面から膝の辺りを狙ったローキックは危険だ。
ただ事ではない雰囲気を察してか、猪木が花道から姿を現しリングに上がるが、レフェリーのフレンチ・バーナードと少し話すとすぐにリングを降りる。
試合は続行されたが、前田のタックルで倒されたアンドレは戦意喪失したかのようにマット上に寝転がって起き上がろうとしない。
ここで再び猪木がリングに上がるとUWF勢の藤原、高田が猪木に詰め寄り、山崎、木戸もリングに上がる。前田は場外フェンスを蹴って怒りを露わにする。
すっきりしないまま無効試合となった。アンドレが単独で行ったことなのか、それとも猪木、坂口、ミスター高橋といった新日本側に黒幕がいたのか。真相は今なお不明である。

評価:☆☆☆☆☆

⑦ 格闘王と呼ばれし男。そのルーツがこの一戦に
昭和61年10月9日 両国国技館
異種格闘技戦
前田日明 vs ドン・ナカヤ・ニールセン

マーシャルアーツの人気選手ベニー・ユキーデの門下生となり、WKA全米クルーザー級チャンピオンに君臨した危険な刺客ドン・ナカヤ・ニールセン。
試合開始前のメンチの切り合いからも両者の喧嘩魂が見て取れる。両者花束を受け取ると、前田は投げ捨て、ニールセンは蹴り飛ばす。

第1ラウンド、ニールセンの強烈な左ストレートが前田の顔面にクリーンヒットする。
立ち技ではニールセンに一日の長があり、打撃で主導権を握る。一方前田は蹴り足をキャッチしてグラウンドに引きずり込むが、ロープブレイクに阻まれなかなか極めきれない。
第4ラウンド、両足タックルでグラウンドに持ち込み脇固めを極める前田。ポジションもリング中央だったが、ラウンド終了のゴングに救われるニールセン。
第5ラウンド、前田はかんぬきスープレックスから袈裟固めに入るもロープブレイク。続けてアキレス腱固めに捕らえるが、ニールセンは踵蹴りで脱出を図る。しかしそこから逆片エビ固めに移行。ニールセンのギブアップにより前田の勝利となった。会場は大「前田」コールに包まれた。

新日本側による前田潰しとも言われる試合だが、新日本の異種格闘技戦におけるベストバウトという声も聞かれるほどの名勝負となり、後に前田は「新格闘王」と呼ばれるようになる。

評価:☆☆☆☆☆

⑧ 制御不能!無差別暴行!錯乱の革命戦士
平成8年9月16日 愛知県体育館
長州力&西村修 vs 木村健悟&後藤達俊

6月に開催された力道山追悼興行「メモリアル力道山」においてインディーを批判した長州。これに対し反発したグレート小鹿は大日本プロレスの選手を引き連れて新日本のリングに乱入。小鹿がマイクを握り新日本の選手を挑発すると、平成維震軍ら新日本の選手がリングに入り乱闘に。

そして同日に行われたこの試合。長州は試合前から機嫌が悪かったのだろう。西村が木村・後藤組に捕まり劣勢を強いられる中、ブチ切れた長州がリングイン。田山レフェリーに蹴りを入れて場外に放り投げると、続けて後藤、木村も場外へ放り投げる。木村と後藤がリングに戻り再び西村を攻めると、長州の怒りに呼応したかのように永田裕志がリングインして後藤にエルボー。怒りが収まらない長州は再び木村を場外に叩き落とし強烈なストンピングを見舞う。さらに長州は田山レフェリー、後藤にも攻撃を加え、収拾がつかなくなったところでノーコンテストのゴングが打ち鳴らされた。その後リングに上がった長州は西村にも蹴りを入れる荒れっぷり。
ここから翌年1月4日東京ドームで行われた「新日本対大日本」の団体対抗戦へと繋がっていく。

評価:☆☆☆☆

⑨ 狂気が支配する6人タッグ!理性を無くしたジュニア戦士の競演
平成9年3月22日 尼崎市記念公園総合体育館
獣神サンダー・ライガー&エル・サムライ&保永昇男 vs 金本浩二&大谷晋二郎&高岩竜一

金本の厳しい攻めにサムライも反撃するが、金本組は3人掛かりでサムライを痛めつける。敵意を剝き出しにした金本組の非情な攻めは止まず、サムライも怒りが収まらない。ライガーと保永はなんとか試合を成立させようとするが、取っ組み合いの喧嘩のような場面が繰り返される。後半にはさすがの大谷も制止するほど抑えがきかなくなった金本。最後はリングに残ったライガー、保永、高岩が急ぎ目に試合を終わらせた。

評価:☆☆☆☆☆

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