プロレス考察家、プロレスブロガーであるジャスト日本氏による書籍。
第一章から第六章に分け、全65試合を紹介している。
「喧嘩マッチ」「不穏試合」「シュート」「セメント」といったワードに胸が躍る方には特に興味深い一冊だろう。
ここではプロレスDVD「壮絶!喧嘩マッチ烈伝」に収録されている試合を除き、各章から3試合ずつ紹介したい。「プロレス喧嘩マッチ伝説 あの不穏試合はなぜ生まれたのか?」<前編>及び「壮絶!喧嘩マッチ烈伝」については↓の記事をご覧ください。
第四章 1990年代の喧嘩マッチ その2
35. 前田日明 vs ディック・フライ (1994年7月14日)
36. 船木誠勝 vs 鈴木みのる (1994年10月15日)
37. 田村潔司 vs 垣原賢人 (1995年2月18日)
38. 田村潔司 vs ゲーリー・オブライト (1995年6月18日)
39. 長州力&永田裕志 vs 安生洋二&中野龍雄 (1995年9月23日)
40. 永田裕志&石沢常光 vs 金原弘光&桜庭和志 (1995年10月9日)
41. ショーン・マイケルズ vs ディーゼル (1996年5月19日)
42. 川田利明 vs ゲーリー・オブライト (1996年7月24日)
43. 川田利明 vs 高山善廣 (1997年10月21日)
44. ブレット・ハート vs ショーン・マイケルズ (1997年11月9日)
45. ビル・ゴールドバーグ vs スティーブン・リーガル (1998年2月9日)
46. 橋本真也 vs 小川直也 (1999年1月4日)
[特別インタビュー②] 齋藤彰俊「プロレスラーは刀を常に研いでいないといけない」
火薬庫暴発!混沌のUインターで発生した頑固者と赤鬼の不穏試合!
1995年6月18日、両国国技館 / UWFインターナショナル
田村潔司 vs ゲーリー・オブライト
「孤高の天才」「赤いパンツの頑固者」と呼ばれる田村はシュート志向の強い選手。オブライトはUインター最強外国人の座に君臨していたこともあるスープレックス・モンスター。
試合開始前から気が立っているオブライト。開始のゴングが鳴ると間合いもへったくれもなく田村に突っかかっていき、反則の顔面パンチを入れながらグラウンド状態へ。レフェリーの制止も聞かず、なかなかブレイクしない。その後、田村がローキックと掌底で攻めるとオブライトがダウン。戦意喪失・無気力といった様子を見せる。その後も田村が打撃で攻めるとオブライトは膝をつき、バックマウントからのスリーパーであっさりとギブアップ。すぐにリングを降りて控室に戻っていくオブライト。一方の田村は控室に戻る途中泣いていた。そして「お客さんに謝りたいです。こんな試合はやりたくないし、他の人にもこういう思いさせたくないし、プロとしての技術がある人がリングに上がるべきだと思います」とコメントした。
8月18日に両者は再戦したが、その試合を最後にオブライトはUインターを離脱し全日本プロレスへ移籍。一方、田村は高田延彦に対し「僕と真剣勝負してください!」とアピールするも実現せず。その後Uインターは新日本プロレスとの対抗戦に突入したが、田村は参加を拒否した。
デンジャラスKの挑発にU系の怪物が大激怒!
1997年10月21日、日本武道館 / 全日本プロレス
川田利明 vs 高山善廣
1996年9月、UWFインターナショナルの大会において、当時他団体との交流を絶ち「鎖国」状態だった全日本プロレスから川田が参戦。高山との試合が行われた。同年末にUインターが解散し、翌年高山は全日本に参戦する。
試合前、川田が「UWFスタイルでこい」と高山を挑発。その言葉通りUスタイルで臨んだ高山は顔面への掌底や膝蹴りといった打撃で攻める。対応できない川田は打撃を受け続け、三度場外へエスケープする。リング上で両腕を上げアピールする高山。川田はタックルで活路を開こうと試みるがことごとく切られてしまう。しかし15分が経過すると川田がバックドロップからストレッチ・プラム、高山がジャーマンスープレックスを見せ、通常のプロレスへと展開していく。そして袈裟斬りチョップ、浴びせ蹴り、ジャンピング・ハイキックで畳みかけた川田が3カウントを奪って勝利した。
明らかに全日本の王道プロレスとは異質な試合。最初の15分に高山の怒りとプライドが見えた。
伝説の1・4事変、プロレス界に激震が走ったセメントマッチ
1999年1月4日、東京ドーム / 新日本プロレス
橋本真也 vs 小川直也
小川のプロレスデビュー戦となる1戦目は裸締めで小川が勝利。2戦目は橋本が小川の顔面を蹴って失神KO。1勝1敗で迎えた3戦目は、当日小川が遅刻してくるなど試合前からきな臭い雰囲気があった。
ジェラルド・ゴルドー、村上一成(現・和成)、4代目タイガーマスクと共に入場する小川。続いて橋本が入場してくると小川が「橋本!死ぬ気があるなら上がってこい!」とマイクで挑発。小川はオープンフィンガーグローブを着用している。
試合が始まると小川は顔面へのパンチを主体に攻める。橋本は異常を感じ、レフェリーのタイガー服部に攻撃を加えるが試合は続く。マウントポジションを取った小川は橋本の顔面にパンチを振り下ろし、さらにダウンしている橋本の顔面に蹴りを見舞う。その後、再び橋本がタイガー服部に暴行。レフェリー不在となったリング上ではバックマウントを取った小川が橋本にパンチ攻撃。マウントポジションに移行しても顔面へのパンチ攻撃は続き、さらに頭部への蹴り、踏みつけで追い打ち。リング外に逃げ、花道でダウンする橋本に対し小川は「来いオラァ!」と挑発。両陣営が小競り合いとなる中、ようやく試合ストップのゴングが鳴る。小川はリング上で勝利をアピール。さらにマイクを握り「もう終わりかよ、冗談じゃねぇよ!新日本プロレスのファンの皆様、目を覚ましてください!」と挑発を続ける。会場全体が混乱状態の中、長州力が登場するとリング上はさらにカオス状態となり、ケガ人が出る乱闘にまで発展した。
その後、橋本は小川に連敗し引退に追い込まれるも復帰。新日本を解雇された後にZERO-ONEをスタートさせ、小川とはタッグを組むようになる。
第五章 2000年代の喧嘩マッチ
47. 秋山準 vs 志賀賢太郎 (2000年3月11日)
48. 飯塚高史 vs 村上一成 (2000年4月7日)
49. 三沢光晴&力皇猛 vs 小川直也&村上一成 (2001年4月18日)
50. 村上和成 vs エンセン井上 (2003年5月2日)
51. マグナムTOKYO vs SUWA (2004年2月6日)
52. 川田利明 vs 柴田勝頼 (2004年11月3日)
53. カート・アングル vs ダニエル・ピューダー (2004年11月4日)
54. 秋山準 vs 柴田勝頼 (2005年8月4日)
55. 高山善廣 vs 諏訪魔 (2009年8月30日)
[特別インタビュー③] 鈴木秀樹「僕にはわけの分からない神通力や圧力は通用しない」
業界を死守するプロレス王と業界を破壊する暴走王が禁断の初遭遇!
2001年4月18日、日本武道館 / ZERO-ONE
三沢光晴&力皇猛 vs 小川直也&村上一成
2000年にプロレスリング・ノアを設立した三沢はZERO-ONE旗揚げ戦のメインイベントに秋山準とのタッグで参戦。その試合後、リングに姿を現した「暴走王」小川がマイクで「三沢、受けてもらおうじゃねぇか、勝負を」と挑発。それに怒った三沢が小川にエルボーを見舞い、リング上はカオス状態となる。
そして旗揚げ2戦目のメインイベント。三沢は力皇を、小川は村上をパートナーに従えてのタッグマッチ。試合は村上が力皇をパンチで攻め立てるところからスタート。力皇は自らの頬を叩いて「もっと打ってこい」と挑発。力皇のタッチを受けた三沢はレスリングの技術とエルボーで村上を圧倒。ここで小川が出てくると三沢は力皇にタッチして小川をじらす。小川が力皇にSTOを決め、マウントポジションを取ろうとしたところで三沢がエルボーでカット。遂に三沢と小川のマッチアップとなる。小川がマウントポジションで三沢にパンチを見舞うと、力皇が死角から強烈なぶちかましでカット。場外では小川と力皇がやり合う中、リング上では三沢が村上にバックドロップ。さらにもう一発バックドロップ気味に強引に投げ、最後はバックドロップホールドで3カウント。納得のいかない小川は三沢に襲い掛かるが、ノアのセコンド陣に逆襲を受ける。橋本がリングインするとリング上は再びカオス状態に。小川はマイクを握り「おい、三沢。数さえ揃えりゃ勝つと思ってんじゃねぇぞこの野郎!てめぇら今度まとめて勝負してやる!」と捨て台詞を吐いてリングを後にした。三沢の強さが印象に残る一戦となった。
「喧嘩マッチはリングの華」荒ぶる若武者と至高の侍が見せた魂の打撃戦!
2004年11月3日、両国国技館 / 新日本プロレス
川田利明 vs 柴田勝頼
川田は選手の大量離脱後も全日本プロレスを守ってきた団体のエース。一方の柴田は「新・闘魂三銃士」の1人で新日本プロレスの次世代エースと目されていた。
試合は「喧嘩ストロングスタイル」柴田の奇襲で始まる。柴田は挑発するかのように川田の得意技であるストレッチ・プラムや顔面ステップキックを繰り出す。これに怒った川田は顔面へのストンピング、頭部へのダブルフットスタンプ、顎の辺りへのハイキック、バックドロップ、そして本家ストレッチ・プラムでやり返す。川田のデンジャラスキック(ランニング・ローキック)を柴田がキャッチすると打撃の打ち合い。柴田がバックドロップ、スリーパー、PK(ペナルティーキック)。川田がこれをカウント2で返すと再び激しい打撃の打ち合い。川田が反則の右ストレートで柴田をダウンさせると、顔面への蹴り、後頭部へのニードロップで追い打ち。3カウントを奪った。
柴田の顔面蹴りに秋山がブチ切れ!感情大噴火の喧嘩マッチ!
2005年8月4日、両国国技館 / WRESTLE-1 GRAND PRIX 2005
秋山準 vs 柴田勝頼
当時K-1を運営していたFEGと元新日本プロレスのマッチメイカー上井文彦氏が手を組み、豪華なメンバーによって行われたトーナメント。その1回戦でプロレスリング・ノアの秋山と新日本プロレスを退団し、上井氏が設立したビッグマウスと契約を結んだ柴田の試合が実現。
試合が始まると柴田が飛び蹴りで急襲、強烈なバックドロップ、顔面ステップキック、さらに顔面へのPK(ペナルティーキック)で秋山は流血する。その後場外戦となり、ブチ切れた秋山がイスを使って反撃。両者リングに戻ると打撃の打ち合いから秋山がバックドロップ。しかし柴田はスリーパーで捕らえる。ぐったりとした秋山にPK、さらに膝蹴りなどで追い打ちをかけると秋山は場外へエスケープ。柴田は和田京平レフェリーの制止を振り払い、再び場外戦へ。秋山がラフファイトで優勢となるが、リングに戻ると一進一退の攻防が続く。張り手合戦から秋山のエクスプロイダーが急角度で炸裂。ランニング・ニーはなんとか2カウントで返した柴田だが、リストクラッチ式エクスプロイダーが再び急角度で炸裂し3カウント。秋山の怖さが見られた一戦だった。
第六章 2010年代以降の喧嘩マッチ
56. 船木誠勝 vs 鈴木みのる (2010年3月21日)
57. 矢野啓太&ばってん多摩川&佐野直 vs HARASHIMA&マサ高梨&伊橋剛太 (2012年7月1日)
58. 中邑真輔&オカダ・カズチカ vs 諏訪魔&近藤修司 (2012年7月1日)
59. 小川直也 vs 藤田和之 (2012年12月31日)
60. 石井智宏 vs 柴田勝頼 (2013年8月4日)
61. 世Ⅳ虎 vs 安川惡斗 (2015年2月22日)
62. 船木誠勝 vs 鈴木秀樹 (2015年3月1日)
63. 鈴木みのる vs 杉浦貴 (2015年9月19日)
64. 岡林裕二&中之上靖文 vs 鈴木秀樹&宇藤純久 (2016年5月30日)
65. 鷹木信悟 vs 鈴木みのる (2020年8月29日)
謎と困惑が錯綜する、どインディー界の不穏試合!
2012年7月1日、ケルベロス道場 / プロフェッショナルレスリング・ワラビー
矢野啓太&ばってん多摩川&佐野直 vs HARASHIMA&マサ高梨&伊橋剛太
元格闘探偵団バトラーツの矢野率いるプロフェッショナルレスリング・ワラビー。対するはDDTプロレスリング。リングはなく、マットの上での試合。
矢野とHARASHIMAのマッチアップでスタート。緊張感のあるグラウンドの展開。続いて佐野と高梨のマッチアップになると場外戦へ。バチバチの雰囲気はあるものの、プロレスの範疇で試合は進む。しかし矢野とHARASHIMAの2度目のマッチアップとなると、矢野が肩でのかち上げ、顔面への掌底で空気が変わる。それでもHARASHIMAはタックルで有利な体勢になると笑顔を見せる。両者スタンドになると矢野がHARASHIMAの顔面にストレート掌底。HARASHIMAは「来いよ」とアピールすると両者が頭を合わせ、矢野がショートレンジの頭突き。完全にプロレスのそれではない。この辺りからHARASHIMAにもスイッチが入り、会場内には異様な緊張感が漂う。矢野は噛んでいたガムをHARASHIMAに投げつける不遜な態度。組み合うと矢野は顔面を狙った膝蹴りから前蹴りを出すが、これをキャッチしたHARASHIMAは倒れた矢野にジャンピングフットスタンプを狙う。その後HARASHIMAが有利なポジションになると拳を握るが、何もせずに高梨にタッチ。高梨は矢野に落ち着け、といったそぶりを見せる。矢野からタッチを受けた佐野がブレーンバスターで高梨から3カウントを奪って試合は終了するが、矢野がHARASHIMAに掴みかかり乱闘。執拗にHARASHIMAに絡む矢野に「もう終わっていいのかよ」と泣き顔で訴える多摩川。矢野の行為が団体の存亡に関わると思ったのだろうか。その後、矢野がマイクを握ると「もう1回やるか」と言って再びHARASHIMAに突っかかっていく。「何がしたいんだよ!」と矢野を止める多摩川。続けてマイクを握ったHARASHIMAは大人のコメントをして矢野に手を差し出し、両者の握手で事態は収束。DDT勢の冷静な対応に救われた形となった。
諏訪魔の暴走、不敵なオカダ!波紋を呼ぶ新日本&全日本合同興行
2012年7月1日、両国国技館 / 新日本プロレス&全日本プロレス
中邑真輔&オカダ・カズチカ vs 諏訪魔&近藤修司
新日本プロレスと全日本プロレスの創立40周年を記念して合同興行が開催された。
新日本側はいずれもIWGPヘビー級王座に輝いた経験のある中邑とオカダ。一方の全日本側は三冠ヘビー級王座に輝いた経験のある諏訪魔と、世界ジュニアヘビー級王座に輝いた経験のある近藤。
初遭遇となったオカダと諏訪魔のマッチアップはエルボーの打ち合いでスタート。オカダがスライディングキックを決めると片足で踏みつけてフォール。これに怒った諏訪魔は場外でイスや机を使ったラフファイトでオカダを痛めつける。強さを見せた諏訪魔だったが、試合はオカダがドロップキックからのレインメーカーで近藤から3カウントを奪い、新日本側が勝利。しかし納得のいかない諏訪魔はオカダに突っかかる。挑発するようにレインメーカーポーズを取るオカダに諏訪魔は突進。髪を掴んでパンチを見舞う。それでもオカダは太々しい表情でレインメーカーポーズを取り続ける。それに対し諏訪魔は「オーッ!」と右腕を上げリングを降りた。
試合後、中邑は「とんだ期待外れのゴリライモだぜ。マッチに火がついたのが試合後だとはな。ダセーぜ!」と吐き捨て、オカダは「諏訪魔、あれが全日本トップか?レベルが違うな」と余裕のコメント。一方の諏訪魔は「プロレスもできねぇ奴は生意気だな。(オカダに)メッキをファンが塗ってんじゃねぇか?10分一本勝負でちょうどいいんじゃないか。身内がみんな思ってんじゃねぇか?作られた商品だってことを」と挑発的な言葉を口にした。
強いヤツと強いヤツがやるのがプロレス!世間を騒がせた最悪の不穏試合!
2015年2月22日、後楽園ホール / スターダム
世Ⅳ虎 vs 安川惡斗
ワールド・オブ・スターダム選手権試合の調印式。世Ⅳ虎(現・世志琥)が「誠意を見せろ」と言うと安川は「土下座は嫌だ!」と拒否。「じゃあ(タイトルマッチを)やらねぇよ」と世Ⅳ虎。ここで安川は両膝をつき土下座をするかと思ったが、大江戸隊が世Ⅳ虎に襲い掛かる。世Ⅳ虎は怒りを露わに調印書にサイン。タイトルマッチが決定した。
リング上、名前をコールされても動かず睨み合う両者。試合開始のゴングが鳴ると安川がゆっくりと歩きだす。世Ⅳ虎はコーナーから動かない。安川の先制パンチで殴り合いが始まる。髪の毛を掴み袈裟固めの状態で拳を振り下ろす世Ⅳ虎。安川が鼻から出血しているのを見て一旦試合を止める和田京平レフェリー。試合が再開されると再び殴り合いに。やや冷静さを取り戻した世Ⅳ虎がプロレスに戻そうと軌道修正を図るが、安川は再び殴り掛かる。しかしケンカでは一枚も二枚も上手の世Ⅳ虎が上のポジションになり殴る。安川が場外へエスケープすると和田レフェリーが安川の顔面の状態をチェック。試合続行は無理と判断した和田レフェリーの指示に従い、安川のセコンドがタオルを投入。世Ⅳ虎のTKO勝利となった。
安川は「プロレスやれ!このクソチャンピオン!」と絶叫しながら控室に連れ戻されていった。
後日、安川に大怪我を負わせた世Ⅳ虎はタイトル剥奪及び無期限出場停止処分、試合結果もノーコンテストに変更された。
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